脆弱な世界を生きる

ポリネシア極リモート環礁における環境機能分化と環境限界の研究


 太平洋のポリネシアとよばれる地域に、クック諸島という多島嶼からなる国がある。その北西端に位置するのが、プカプカ環礁である。環礁とは、環状に発達するサンゴ礁地形を意味する。プカプカ環礁は、ひとが生活するには脆弱性が際立つ世界だ。というのも、陸域は非常に狭く低いうえに、他島・大陸から遠く隔たっているからだ。さらに、数千年来くりかえされるエルニーニョ現象によって、気候および気象の異常にみまわれやすいところでもある。加えて、人新世の現在、そういった環境リスクはさらに増幅していると考えられるのだ。

 本研究では、プカプカ環礁の住民を、このような脆弱な世界において世代を超えて生き延びてきた存在として位置付け直す。そしてかれらは、環礁を構成する州島個々において環境機能分化を図り、同時に環礁外へと生活世界を拡張しながら、環境限界を引き上げることによってそれを可能にしてきたという新たな視点に立つ。このような生活世界の動態的構築を、社会人類学、歴史人類学、考古学、地理学といった異なる専門性を持った研究者が、プカプカ環礁内外に協力者を得ながら、フィールドでの協働を核として包括的に検討する。


本研究は、JSPS科研費・基盤A(課題番号:24H00127)の助成を受けて実施しています。


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2024.05.21
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